
昔、神奈川県箱根に住んでいたことがあるんだが、そのときに住んでいた家の窓辺にはいつもこの明珍火箸という風鈴が下がっていた。
遠くでカナカナが鳴いて、この風鈴が余韻の長い音を響かせたその時期が忘れなくて、ちょいと値段が高かったんだが買ってしまった。その音を聞くと、なんだか意識がすーっと遠のく気分になるくらい影響力がある不思議な風鈴なのだ。
箱根を立ち去るときに、そのとき好きだった女の子にあげちゃったのだ。それから数年経過し、夏になるたびにこの風鈴がほしくてしょうがなかったんだが、なんとなくいくつかの夏をやり過ごし、今年になってやっと思い立った。今ではけっこう遠い記憶の中でこの風鈴の音が鳴っているんだけど、いつまでもこの「目の前で鳴っているのに遠くから聞こえる」風鈴の音は忘れることができない。
今でもどこか僕の知らない街の窓辺で鳴っているのかと思うと、ちょっとセンチメンタルになる。
北海道ではおそらくめったに見れない風鈴と思うので、いつか皆さんもお試しあれ。個人的には音楽好きな人にぜひとも使ってほしいです。ちなみにスティービー・ワンダーも使っているとのことです。
まぁ余談になるんだけど、自分が今まで生きてきて印象に残った音というのは上の明珍風鈴もそうなんだけど、もう一個あって、秋の夕暮れに聞くヘリコプターの音を聞くとなんとなく胸が苦しくなる。
これは小さいころから空港の近くに住んでいたのだけど、外でいっぱい遊んで、夕暮れ時に家に帰ると母親が買い物に出て、いなかったので、一人ぼっちにされた感覚があって、わんわん泣いていた時に何度も聞いた音だからなのかも知れない。飛行機の音は秋になるととても大きく感じた。